秋らしいさわやかな青空が広がっています。輝く汐留の高層ビル。高いビルに囲まれ写真の中では、ほとんど埋没してしまっていますが、真ん中の下の方の焦げ茶色の尖った建物、わかりますか。「中銀カプセルタワービル」です。
「ちゅうぎん」ではなく「なかぎん」と読みます。中部銀行の略ではありません。
中銀という、マンションなどを販売・運営する会社が手がけたものです。
設計したのは、12日に急逝した黒川紀章氏です。出来上がったのは1972年。11階建てで、昔は周囲にさほど高いビルはなく、かなり目立つ存在でした。35年しかたっていませんが、老朽化のため取り壊すことが今春決まりました。
黒川氏らが提唱した「メタボリズム(新陳代謝)」という発想に基づく建物。四角いカプセルがひとつの部屋になっており、それらを組み合わせてビルを造るという、SFの世界のような楽しい夢を感じさせるものでした。カプセルが古くなれば交換することで再生もできるという考えかたでした。
しかし、現実には全体が老朽化してしまい、雨漏りがするなど不具合が多く出てきた。歴史的建築物として残そうという声も合ったそうですが、結局取り壊して立て替えることになりました。
寂しいといえば寂しいです。が、私が住んでいるわけでもないし、黒川氏が好きなわけでもないし。それに戦後の有名な建築家の作品って独りよがりで、嫌な感じがするのです。施主を踏み台にして自分が目立とうとしているような気配を感じてしまうのです。これも、私のひがみ根性でしょうけれど。
注目を集めた建物も、やがて姿を消します。しかし、この街は予想以上の速さで生まれ変わっているいるようです。間違いなく新陳代謝しています。