何の弾みか、昨日はファイトケミカルやフィトンチッドの話を書きました。語源がギリシャ語の「植物」にあるという薀蓄。
さて、植物つながりで、本日のお題は勝手に「樹木」。ギリシャ語で「樹木」を意味する「デンドロ」を使った学名のたぐいも色々ある様です。
花が美しい蘭の一種、「デンドロビウム」。 ビウム(bium)は生命や生活を意味する「bio−」に由来。デンドロ(木)+ビウム(生活)、すなわち、木に着生する蘭の性質から付けられた名前です。この「bio」は、今や「バイオテクノロジー」など色んな言葉になって我々を取り巻いています。ワインの世界では、ご存知「ビオデュナミ」もそうですね。
雪のように、枝状に発達する結晶を、金属学や結晶学では「デンドライト(樹枝状晶)」と呼びます。
観葉植物の中ではポピュラーなものの一つ「フィロデンドロン」。「フィロ」は「好む、愛する」の意。誰よりも木々を愛す。つまり、ツタのように樹木にからみついて成長するところから名付けられました。
このフィロ(philo)は、「フィロソフィア(哲学)=智を愛す」のフィロとしてあまりにも有名。「フィルハーモニー」のフィルでもありますね。ワイン関連では、エノフィル(œnophile)、ワイン愛好家という言葉があります。
しからば、フランスのブドウを一時、壊滅状態に追いこんだ害虫フィロキセラのフィロは――。
こちらのフィロはphyllo。葉っぱの意味です。Phylloxera Vastatrix。つづりが違いますね。キセラxeraは「乾いた、枯れた」。つまり木を枯らす虫という意味なのです。ちなみに、シャンソンの「枯葉」は Les Feuilles mortes。「死んだ葉」ですか。じゃあ、「濡れ落ち葉」は何て言うんでしょうね、ギリシャ語で。
こういう話を酒の席で披瀝すると、確実に嫌われるか、うんざりした顔をされますからご注意を。