おととい(21日)でしたか、新聞やテレビでやってましたね。
「パリ市は20日、美食家として知られるシラク現大統領ら歴代のパリ市長が収集した高級ワインのコレクションを競売にかけ、1998年のロマネ・コンティが5000ユーロ(約75万円)で落札された。フランス公共ラジオなどが伝えた。
競売は21日までの2日間。パリ市は所蔵ワインの約4分の3に当たる4960本を放出し、約80万ユーロ(約1億2000万円)の収益を見込んでいる。
愛好家垂涎のワインは、1977年にパリ市長となったシラク氏や後継のティベリ前市長が収集。右派市政に終止符を打ち、2001年に就任した社会党のドラノエ現市長は応接方法の簡素化を掲げ、競売に出すことを決めた……」
さすがパリ市。内外の賓客をもてなすために、いいワインをそろえていた! ワインはフランス文化の象徴の一つですから、賓客らに恥ずかしくない物を用意するのは、当然の努力かもしれません。しかし、王朝時代ならともかく民主主義の時代に、税金を使って高級ワインをコレクションするのは、やっぱりおかしい。それは、市役所のする仕事ではないでしょう。賓客をもてなす必要があれば、それなりのレストランなどに招待して、いいワインを出せばいいのです(市民の理解が得られる範囲で)。
レストランで飲ませると高くつくので、倹約のために自前でワインを集めた、という理屈もつくかもしれません。それなら、市営のレストラン付きワイン博物館でも作って、そこで市民に収支が見える形で接待すべきでしょう。
ワインをこつこつ集めて財政難の時に放出すれば、赤字の埋め合わせになる、という理屈も可能です。それなら、健全な投資として民間に購入・保管・販売を委託するなど公開された運用をするべきでしょう。
市長が右派だろうが左派だろうが、市役所による高級ワイン・コレクションというのは、この時代には合わないと思います。もちろん食事にワインは欠かせないらしいので、日常的なワインを用意してはいかんとまでは、言いませんが。
日本人と違って、税金の使われ方に大変厳しいと言われるフランス人が、このような長年にわたる贅沢な支出に寛大だったのは、やはりそれが誇るべき伝統、文化に関わることだったからでしょうか。それとも、知らされていなかったからでしょうか。
それはさておき、約5千本を競売にかけて約1億2千万円ですか。平均1本2万4千円かあ。それでも所蔵の4分の3。残りのワインはもっと安いのでしょうが、億円単位のワインコレクションというのは、私には、すごいのかどうかさえ分からない世界です。フランスの最高級レストランやアラブの大富豪なら、それぐらいのコレクションは普通にあるものなのでしょうか。
王族、企業、自治体を含めた世界のワインコレクションのランキングを見てみたいものです。