フランスの植物学者
フィリベール・コンメルソンは、日本では植物や園芸に詳しい人を除いて、あまり知られていないのではないでしょうか。世界百科事典(平凡社)にも、西洋人名辞典(岩波書店)にも載っていません。もちろん広辞苑にも載っていません。恥ずかしながら私も今まで知りませんでした。
しかし、18世紀に新世界で多くの植物を「発見」した偉大な学者だったのです。
「自然の中の人間シリーズ 花と人間編 花に魅せられた人々 発見と分類」(大庭秀章著、農文協)では、「何千という新しい植物を発見したコンメルソン」と題して紹介しています。
それによると、彼は少年時代から花好きで、人の庭の花をも勝手にとって集めてました。モンペリエの大学時代は、大学の植物園からも無断で採取し、標本にしていたそうです。要するに、かなりの花オタクですね。やがて結婚後、王室付き植物学者に任命され、1766年、ルイ=アントワーヌ・ド・ブーガンビル船長のラ・ブードゥーズ号に乗り、ナント港から世界探検の旅に出ました。
船は世界一周を果たし、1769年に帰港しました。しかし、コンメルソンは途中、インド洋のモーリシャス島で船を下り、この島で植物研究を続け、国に帰らぬまま1773年に46歳で亡くなりました。
モーリシャス島はかくも美しい島なのでしょうか。「インド洋の貴婦人」と呼ばれているそうです。一度行ってみたくなりました。
ブーガンビル船長一行が発見した島に、南太平洋ソロモン諸島のブーゲンビル島があります。船長の名を冠したのですね。一方、コンメルソンは南米で発見したオシロイバナのような花を、船長にちなんでブーゲンビリアと名付けました。ブーゲンビリアはブーゲンビル島の花だと、私は思いこんでいたのですが、違うのですね。